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最高裁判所第三小法廷 昭和33年(オ)683号 判決 1960年3月01日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人井上四郎同瀬戸丸英好の上告理由について。

被上告人が本件土地を所有しかつその登記を経由していること、右土地上に訴外伊藤良助の所有する建物が存在し、上告人がこれに居住してその敷地を占有していることは、いずれも原判決の確定するところであり、上告人は、右伊藤良助が被上告人から本件土地を使用貸借により借り受けてその地上に前記建物を建築し、上告人がこれを賃借したと主張し、被上告人はこれを争つているのである。この場合、上告人の前記正権原の主張については、上告人に立証責任の存することは明らかであり、上告人は占有者の権利推定を定めた民法一八八条の規定を援用して自己の正権原を被上告人に対抗することはできないと解するのが相当である。されば上告人の前記主張を証拠上認め得ないとして排斥した原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋潔 裁判官 石坂修一)

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